傘をさしていなくても違反にされることがある?
2015年に道路交通法が改定になり、自転車に対する規則が非常に厳しくなりました。
しかし、多くの人が誤解しているのですが、実は傘をさして自転車を運転してはいけないと法律で言われているわけではないのです。
逆に、雨の日に傘をさしていないで自転車を運転していても、他のことで違反していれば検挙されてしまいます。
傘をさして自転車を運転している人が検挙される根拠となっているのが次の条文です。
⑭安全運転義務違反
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
この条文を元に、傘をさしながら自転車を運転している人を検挙しています。その理由は傘をさしながら自転車を運転すると、
- 当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作できない
- 他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転できない
という二点の理由から、傘をさしながら自転車運転すると取締の対象になるわけです。つまり警察官が自転車を運転している人を見て、上記の二点に当てはまるなと思われたら、検挙されてしまいます。
これはとても曖昧でどうにでも取れるような言い回しですよね。
実際に、この条文を根拠に、傘をさして自転車を運転している人だけでなく、電話しながら乗っている人、音楽を聞きながら運転している人も取締をうけることがあります。そしてこの安全運転義務違反のことを、一般的には「ながら運転」と言われています。
- 傘をさしながら運転
- スマホや電話をしながら運転
- ヘッドフォンで耳をふさぎながら運転
つまり、傘をさしていなくても、雨の中スマホ操作しながら運転していたら捕まることもありますし、逆に傘をさしていたとしても、確実なハンドル操作で運転できていて、他人に危害を与えないであろう方法だったら、警察も捕まえることがないのです。
傘をさして自転車を運転すること自体がだめなのではなく、傘をさした結果片手で運転して安全な運転ができないのがダメなのです。
違反した場合の罰則や罰金は?
2015年の道路交通法改定前までは、自転車の違反は赤キップと呼ばれるもので、交付されると五万円の罰金が課せられ、略式起訴後に前科がつくものでした。
改正後になると、青切符が交付されるものの、はじめのうちは安全指導であるものの、回数を繰り返すと徐々に罰則や罰金が重くなっていくというものです。
二回繰り返した場合は安全講習に参加しなければなりません。これは5700円かかり、受講時間は3時間です。この呼び出しを無視すると、事件扱いとなり、裁判所に呼び出され、5万円以下の罰金が課せられます。
ちなみにこれらは14歳以上の全ての自転車利用者が対象になります。
罰則 | 罰金 | |
三年間で一回の摘発 | 厳重注意 | なし |
三年間で二回以上の摘発 | 安全講習への参加命令 | 講習参加料5700円 |
安全講習を無視した場合 | 裁判所呼び出し | 5万円以下 |
取締を逃れる方法は?
もし運悪く取締を受けてしまったら、とにかく逃げるしかないでしょう。自動車やバイクと違い、ナンバープレートもないので、逃げ切ってしまえば、警察もほぼ追求できないでしょう。
しかし、警察官は普段から体を鍛えているので、あなたが逃げたところですぐに追いつくでしょうし、逃げなければ注意で済んだものを、逃げたためによけいに罪を重ねてしまいかねませんので、あまり逃げることはおすすめしません。
では、傘をさしながらも違反にならない方法はないのでしょうか?
とにかく自転車のコントロールを妨げないような、いわゆるながら運転にならない状態であれば、傘を使用して自転車を運転すれば文句ないだろう、と思うかもしれませんが、なかなか話はそう単純でもありません。
これをしようすれば、傘をさしても両手が開くので、ハンドル操作に集中できます。
一般には「さすべえ」「傘スタンド」「傘立て」などとよばれているものですね。
これであれば、上記の道交法でいうような、いわゆる「ながら運転」には該当しません。
ただし、次に挙げる県では自転車に乗っている時に傘を併用することさえ禁止しているので、警官によっては違反扱いすることも考えられますので、要注意です。
- 青森県
- 岩手県
- 山形県
- 静岡県
- 福井県
- 三重県
に関しては、どんな形であれ、自転車乗車時に傘を使うことが一切禁止されているので要注意です。
絶対おすすめの自転車用ポンチョ
そもそも、自転車にのりながら、傘を使用すると大変危険です。雨が降っているときは、視界も悪くなりますし、路面は滑りやすくなりますし、無意識に雨に濡れないようにと、ついついスピードを出してしまいがちです。
そういう状況で傘を使うと、運転に集中できず、自分で転ぶだけならまだしも、歩行者にぶつかって怪我をさせてしまったら、罰金どころではすまなくなります。
自転車事故の賠償で自己破産のケースも
自転車事故で高額の賠償が求められたケースは少なくない。
横浜市金沢区で携帯電話を操作しながら、無灯火で自転車を運転していた女子高校生が女性に追突した事故では、女性は歩行困難になり、看護師の職を失った。横浜地裁は17年11月、女子高校生の過失を認め、5000万円の支払いを命じた。
また、大阪地裁が8年10月、夜間に無灯火で自転車を運転していた男性が、短大非常勤講師をはねた事故で、男性に損害賠償2500万円の支払いを命じるなど、自転車事故による高額賠償命令は以前から出されている。
古田弁護士は「自転車でも過失があれば、しっかり賠償しないといけないが、自転車利用者の多くは保険に未加入で、自己破産する例も少なくない」と指摘する。
しかし、雨の中でも自転車に乗らなければならない人も多いでしょう。そのときにおすすめなのが、自転車用のポンチョです。
これであれば、レインコートとかのように、着たり脱いだりの手間もそれほどありませんし、自転車の運転に集中しつつも、体や荷物を濡らすことがありません。
自転車のサドルの下につけておけるタイプもあるので、自転車に乗る機会の多い人は、ぜひ一つ常備しておくといいでしょう。
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