マイナスしかなかったネジにプラスができたわけ
マイナスネジだけで不都合はありませんでしたが、技術の進歩もあったことで、プラスネジが開発され、それを使ってみると、マイナスよりも力が入りやすいので、少ない力で強く締めたり開けたりすることができることがわかり、急速に広がりました。
そして今や、世の中に出回っているネジの9割はプラスのネジだともいわれているほど、ほとんどすべてのネジで、プラスが採用されています。
少ない力で強く締めることができるのであれば、あえてプラスネジを使わずにマイナスネジを使うメリットがないように思えますが、それでもやはりいまだに、あえてマイナスネジを使っているところもあります。
マイナスがなくならないわけ
力が入りやすいのであれば、プラスのネジだけでいいような気がします。むしろマイナスのネジは必要がない気がしますが、それでもマイナスはいまだにたくさんのところに使われています。
それはなぜでしょう?その理由はいろいろあります。
1、溝に汚れがたまりにくい
世の中のほとんどのネジがプラスだと割れますが、よく見ると、家庭においては、ふろ場やキッチン、洗面台の蛇口、庭などにある屋外灯などに使われていることに気づくと思います。
マイナスネジは、汚れが溝に詰まりにくい構造になっています。たとえ汚れが溝にたまってもすぐに取り除きやすいため、汚れがたまってそれが原因で錆びついてしまったり、汚れが取り除けないためにドライバーが溝に入らなくなってしまうというようなことが起こりにくい構造です。
そのため、上記のような水場や屋外のような汚れがあってさび付きやすいような場所などに積極的に使われます。
2、汎用性がある
カメラのボタン電池を入れる蓋や、ミシンの台座でドライバーを使うのがむずかしいような場所や、バイクのヘルメットのシールドなどは、ドライバーを使用しなくても、コインなどで開け閉めできるようにマイナスネジが使われます。
3、デザインがクール
実用性ではなく、マイナスネジのデザイン性を生かしたいためにマイナスネジが使われることがあります。主に腕時計などでは、もともとマイナスネジしかなかった1920年代より、マイナスネジは、職人たちの手仕事の証と結びつき、それが現代まで続いている。
そのため、マイナスネジの方が、高級感があると考えられていて、腕時計などで、装着して他人から見える部分に関しては、マイナスネジを使用していたりします。
まとめ
もともとマイナスネジからプラスネジが生まれました。
プラスネジの締めやすさを知ると、マイナスネジにメリットも存在価値もないのではないかと思うかもしれませんが、マイナスはマイナスで、依然、プラスにはない使いやすさ、メリットがあるのです。
プラスとマイナスは補完しあいながら、この先も存在し続けます。
それはまるで、人間社会の縮図そのものともいえるのではないでしょうか。
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