永遠に発電し続けるのは嘘じゃない
太陽電池は光を電気に変えます。つまり光があるところでは永遠に発電をし続けるのです。
厳密に言えば、使用されている部品の劣化や、アナログ時計の場合、動き続ければ摩擦でギアが擦れていくことで、いつかは止まるでしょう。
しかしそれは単純に計算しても数百年、数千年後のことであり、人間の生命を考えれば、それを永遠と表現してしまってもいいのかもしれません。
そういった意味で、ソーラー発電は永遠に発電し続けます。
しかし、ソーラー発電の腕時計の場合、発電した電池をためておく蓄電池が必要になります。
それを二次電池と呼びますが、その二次電池にはには寿命があるのです。
発電した電気を貯める二次電池は電池交換が必要
光で発電するということは、裏を返せば光のないところでは発電しないわけです。
しかし腕時計は常に光があるところだけにあるわけではありません。
夜になれば光はなくなりますし、昼間でも袖の下に隠れてしまえば、光による発電がされなくなります。
そうした時に時計が停まってしまったら腕時計としての役割を果たしませんね。
そのためソーラー発電を利用した腕時計は光によって発電した電気を貯めておく二次電池という蓄電池が用いられます。
つまり充電式の電池です。
光で発電された電気を充電しておくのに用いられるのがニッケル水素です。
これは化学反応を用いている電池で、どんなものでも例外なく、その性質が劣化していきます。
一般的に5年で容量が60%に減ります。可動部分や電力消費が大きい時計であれば、当然の事ながらもっと劣化が早くなります。
これは電池に充電機能がついたものであって、エネループやスマートフォンやiphoneなんかで使用されている電池と同じ性質のものです。
つまり充電、放電を繰り返していくうちに、どんどんと性能が劣化していって、最終的には機能しなくなり交換が必要になるのです
光による発電は永遠に続けども、その電池を貯める二次電池である蓄電池、充電式バッテリーの交換が必要になるわけであり、結局は、ソーラー発電ではない電池式の腕時計と同じように、電池交換が必要になるのです。
発電した電池をためておく蓄電池には寿命があることを言いたがらないメーカー
確かに発電だけは永遠にします。そのため、その部分だけをとり上げて、あたかも永遠に電池交換が必要ないかのような錯覚をおこすような宣伝をしています。
しかし、例外なくどんなソーラー発電式腕時計でも電池交換は必要です。その証拠にそれぞれのメーカーに次のような記述を見つけることができます。
カシオの場合
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A1 防水タイプの時計は、防水性を保つために定期的(2~3年を目安に)なパッキン交換をお薦めいたします。二次電池は、ソーラーパネルが受ける光により充電されますので、一次電池のような定期的な電池交換の必要はありません。ただし、二次電池は長期的なご使用や使用環境により容量や充電効率が低下しますので、充電しても「使用できる時間が短くなった」と感じたときは、修理に関するお問い合わせ窓口または、お買い上げの販売店にご相談ください。ご希望により保証期間経過後は有料で充電点検調整いたします。
→ 二次電池の交換が必要と明言していないものの、容量や充電効率が低下することは認めている。実際は二次電池にももちろん寿命がある。
セイコーの場合
ソーラー時計に内蔵されている二次電池は、長期的な使用や使用環境によって、容量や充電効率が低下していきます。また、歯車を内蔵した他の時計と同様に、潤滑油の劣化等の影響によって消費電流量が増加する場合があります。
腕時計を長くご愛用いただくために、数年に一度、定期的な点検調整のための分解掃除(オーバーホール)をおすすめします。
→ 二次電池の交換が必要と明言していないものの、容量や充電効率が低下することは認めている。実際は二次電池にももちろん寿命がある。
シチズンの場合
Q2.なぜ定期的な電池交換がいらないの?
A2.
あまった電気エネルギーは二次電池に蓄えているから。
ソーラーセルで作った電気は二次電池に蓄積されます。二次電池は繰り返し充電できるから、定期的な電池交換が不要なのです。
→ 二次電池の交換が必要と明言していないし、定期的な電池交換が不要と言うにとどめているものの、裏返して言えば、定期的ではないけど電池交換が必要になるということ。
結局裏蓋開けて分解清掃が必要になるソーラー腕時計
実はそうした電池の問題だけではなく、特にアナログ式の時計の場合、どんなに密閉していて外からのゴミやホコリの侵入をシャットアウトしていたとしても分解掃除はひつようです。
なぜなら、内部のメカニズムからのゴミの発生、油カスが出たりということで、動きが悪くなるためです。
よってソーラー発電の腕時計であっても、裏蓋が外れるようになっています。
必ずしも電池式より便利とは言えないソーラー腕時計
ソーラー発電による腕時計の場合、ソーラー発電のためのユニットを時計内に組み込まなければなりません。
その分、蓄電池のスペースが犠牲となるため、充電される電気の量が少なくなります。
よって、絶えず光に当てて充電されることを気にかけなければなりません。
しかし電池式の場合、ソーラー発電ユニットがないため電池ためのスペースを広く使うことができます。
よって新品の電池をいれれば2年、3年、なかには10年電池交換が必要のない場合もあります。
もちろん電池が続く限りは、時計を光に当てることを気にかける必要もありません。
数年に一回電池交換が必要になる、ただそれだけです。
ソーラー発電の場合、光に当てることに気を使わなければならない上に、電池だって五年後には交換しなければならない。
そうなると、必ずしもソーラーが便利だとはいえなくなってくるのではないでしょうか。
デザインをそこなうソーラーパネル
そしてソーラー発電の腕時計の致命的な問題は、ソーラーパネルのスペースを何処かに確保しなければならないという点です。これは腕時計のデザインを大きく損なうことになります。
最近ではソーラーパネルがあることを感じさせないデザインも増えてきています。
それでも必ずソーラーパネルを設置しなければいけない制約があるかぎり、時計のデザインが犠牲になっているのは事実です。
ソーラーパネルがあろうとなかろうと、デザインが気に入れば構いませんが、電池式のほうがよりデザインにおいて自由があるのは事実です。
腕時計はソーラー発電を選ぶ必要は全く無い
このように今まで見てきたように、腕時計はソーラーでなければいけない、ということは全くありません。
むしろ、考えように寄ってはソーラーよりも電池式のほうが優れていると思えるところもあります。
今後、時計を選ぶ際には、ソーラーはどうかはあまり考えず、別の所でこだわるようにしましょう。
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