無料だと思ったのに不用品回収業者に高額請求された
「ご家庭にある不要になったものありませんか?なんでも無料で回収します。」
若いお姉さんの声で、こんなセリフが外から聞こえてきたとき、「そういえば、前から邪魔だったこの粗大ごみ。行政に頼むと処分代金とられるみたいだし、でっかいから運ぶの面倒だし。無料でもっていってもらえるなら、これほど便利なことはない」ということで、軽トラの不用品回収業者を呼び止めてようと思った人も結構いるのではないでしょうか?
まったくの無料でないとしても、手数料くらいなら払ってもいいから、とりあえず、粗大ごみを持って行ってもらうといくらになるか、聞いてみよう。
なんていう人もいるかもしれません。
ところが、無料にならないどころか、高額料金を請求され、払わざるを得なくなったり、他様々なトラブルが続出しているのです。
多くのトラブルが後を絶たないために、環境省からも、こうした不用品回収業者を利用しないようにというアナウンスが公式になされているほどです。
いったいどのようなトラブルに巻き込まれるのでしょうか?
不用品回収業の本当の目的
不用品回収業者という人たちは、いったい何を目的に不用品を回収しているのでしょうか?
多くの人のイメージとして、回収した粗大ごみを、修理して販売して、それで利益を出しているのではないか?だから無料で粗大ごみを持って行っても、採算があうのだろうと思っていることと思います。
しかし考えてもみれば、売ってお金になるようなものだったら、そもそも無料で引き渡す人なんてなかなかいません。しかし、不用品回収業者は、表向き、不用品を回収することで、利益を出しています。
いったい、不用品回収業者はどうやって利益にしているのでしょうか?
鉄くずを集めている
一般的な不用品回収業者は、回収した粗大ごみを、鉄くずとして鉄くず回収業者に渡すことでお金にしています。鉄くずの場合、その入手ルートが問題になることがほとんどありません。こうした鉄くずは主にリサイクル鉄として海外に輸出されていきますが、大型の公共事業などが集中したりする場合は、買取単価が上がることもあります。
そのため、不用品回収業者は、鉄くずとして売れそうな粗大ごみを回収しているのです。
処分費用をぼったぐる
もともとは鉄くず集めが不用品回収業者の目的でした。というのも、鉄くずであれば、鉄くず回収業者にもっていけば、お金になるからです。
ということは、鉄でできていないような粗大ごみの場合、鉄くず業者にもっていっても、受け取り拒否をされてしまうことがあります。
つまり、鉄くず業者に売ることのできない粗大ごみを引き受けてしまった場合、お金にすることができないため、なにかしら自分で処分をしなければならなくなるわけで、損をしてしまうことになるわけです。
よって、鉄くず回収業者に売ることのできないような粗大ごみの場合は、粗大ごみ処分代金、処分手数料と称して、料金を請求することがあります。
「無料と言っていたはずなのに・・・」と思うかもしれませんが、不用品回収業者は「引き取るのは無料だけれども、手数料はかかる」「引き取るのは無料だけど、運搬費用がかかる」等々、とにかくあれこれ理由をつけて、料金を請求するのです。
不用品回収業者に支払いを拒否できない理由
多くの人は、無料だとおもった不用品回収で、料金を請求されたのであれば、断ればいいのに、と思うかもしれません。
ところが不用品回収業者は、はじめから計画的に支払いを拒否できないような状況に追い込むため、多くの人は、泣く泣く支払わざるを得ない状況に追い込まれているのです。
たとえば、初めのうちは料金はかかりません、無料です、と言って、粗大ごみを自宅から運び出して、軽トラックに積み込みます。
粗大ごみを無料で持っていってもらえる!と思ったときに、不用品回収業者は突然、態度を変えて、「それでは手数料は1万円です」といって、粗大ごみ回収費用を請求します。
「無料だと言ったじゃないですか!」と当然あなたは言うでしょう。すると「回収は無料ですけど、破棄に手数料がかかります。」と半分、こじつけのような言い訳をして、料金を請求します。
この時点で、不用品回収業者も、やくざの凄んでくるので、その迫力に圧倒されて、大体のひとは払ってしまうでしょう。
不用品回収業者に、自宅の場所を知られてしまい、機嫌を損ねるとなんか、仕返しをされるのではないかという気味の悪さもあると思います。
それでも、「お金がかかるなら、不用品回収を頼みませんので結構です。」と言うとします。すると、不用品回収業者は「なら、持っていきませんので、自分で持って帰ってください」と突き放します。
比較的小さな粗大ごみならいいでしょうけども、大きな粗大ごみでしたら、そこから家に運ぶまでが大変でしょう。そのため、根負けして、とりあえず不用品回収業者にお金を支払うことで、あきらめよう、となります。
不用品回収:無許可で全国展開、業者逮捕へ 強引営業も
「再生工房」の名で不用品を回収していた「グローバルマネジメント」(本社・神奈川県藤沢市)が客に高額な料金を請求していた事件で、宮城、埼玉、千葉、愛媛の4県警は来週半ばにも、グ社幹部らを廃棄物処理法違反(無許可営業)などの容疑で一斉逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。グ社は北海道から九州まで計16支店を置き、09年10月期に17億円余りを売り上げたが、各地で苦情が寄せられていた。4県警は強引な営業手法をマニュアル化していたとみて合同捜査を進める。捜査関係者によると、グ社は軽トラックでアナウンスを流しながら住宅街を巡回し、不用品引き取りを勧誘する廃品回収業を無許可で営業した疑いが持たれている。4県警は幹部ら十数人の立件に向け、詰めの捜査を進めている。グ社を巡っては宮城県警が今年6月、廃棄物処理法違反容疑で本社などを家宅捜索したほか、愛媛県警も7月に同容疑で愛媛支店(松山市)を家宅捜索するなど、各県警が捜査していた。消費者庁も8月5日、特定商取引法違反(迷惑勧誘など)で6カ月間の一部業務停止を命じた。消費者庁によると、グ社の従業員は今年2月、客の不用品をトラックに積み込んだ後に「7万4800円になります」と請求。無料と思っていた客が驚いて回収を断ると「ふざけんなよ。もう積んだんだよ。おれの手間はどうなるんだよ」とすごみ、その後も数回にわたり客の自宅を訪問。「荷物はもう会社に降ろしたからないよ」「特別に半額にするよ」と言って計3万4000円を支払わせた。こうした「先積み」と称される行為を繰り返していたという。
同庁によると、グ社は07年11月に設立され、札幌、宮城、千葉、愛知、兵庫、福岡などに支店を置き、従業員数は687人(今年7月現在)。国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた同社を巡る相談は07年度9件、08年度33件、09年度130件、10年度67件--の計239件(10月29日現在)に上る。
一方、民間の信用調査機関によると、グ社の09年10月期の売上高は約17億4000万円で、前年同期比の3倍に急増していた。
◇事務員「仕事は、もうしていません」
神奈川県藤沢市にあるグローバルマネジメント本社は国道467号沿いの住宅街にある3階建てビル。会社の看板はなく、窓は内側から紙などが張られ、様子はうかがえない。10月27日に事務所を訪ねると、内部には段ボール箱や書類が乱雑に積み上げられていた。中にいたのは女性事務員4人だけ。最近の様子を尋ねると「6月に警察が来てから社長ら幹部はだんだん来なくなり、しばらく会っていない」「弁護士らとの相談で忙しいんでしょうが、私たちも指示待ちで、どうなるのか分からない」「(不用品回収の)仕事は、もうしていません。事務員だけなので、仕事に関する難しい話に答えられる者はいない」などと不安そうに語った。
埼玉県和光市にある埼玉支店は既に閉鎖されており、近所の人は「一時期は三十数台の軽トラックが止まっていた。従業員は『軽トラック1台満タンにしてくると10万円ぐらいになる』と言っていた。随分もうけていたんじゃないか」と話していた。【永尾洋史、田口雅士】毎日新聞 2010年11月1日 2時30分
回収された粗大ごみが不法投棄される?
粗大ごみ回収業者は、処分費用を客からとって、粗大ごみを回収したにもかかわらず、正規に処分すれば、処分費用が掛かりますが、不法投棄すれば、客からもらった処分費用は、まるまる不用品回収業者の儲けになります。
そこで、客から回収した粗大ごみで鉄くずとして処分できないようなものを、不法投棄してしまう業者が後を絶ちません。
万が一、回収された粗大ごみに、あなたのものであったことがわかるような、名前や連絡先などがあった場合、あなたが不法投棄したのではないかと、疑いをかけられ、警察から連絡がくるようなことになるかもしれません。
その時に、いくら不用品回収業者に引き取ってもらったと説明したところで、あなたはもう、その時に、その不用品回収業者を見つけることができないでしょうから、あなたが不法投棄をしたのではないという証拠も出せなくなるというわけです。
まとめ
無料で持って行ってもらえるなら、処分費用が節約できる!と思い、ついつい不用品回収業者に処分を頼もうとしてしまう人も多いと思いますが、不用品回収業者に頼むと、かえって高額な代金を支払わざるを得なくなることが多いのです。
でも、行政に引き取ってもらうのは面倒だし、お金もかかりそうだし、と思うかもしれませんが、意外と粗大ごみ回収は簡単ですし、料金もべらぼうに高いというわけではありません。
粗大ごみ回収を考えている方は、ぜひ一度、お住いの行政、自治体の粗大ごみ回収について、問い合わせてみてはいかがでしょうか。
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